新しくなったBLSインストラクターコース
AHAガイドライン2015が発表されて、まもなく2年。
日本でもBLSとACLSはG2015正式版に完全移行し、講習展開も日本全国でこなれてきた印象があります。
ハートセイバーコースも11月にDVDの発売が発表となり、もうすぐ講習内容が切り替わります。PALSは11月にはプロバイダーマニュアル日本語版が発売されるようです。(DVDやインストラクターマニュアルはもう少し後になるようです)
さて、ガイドライン改定で真っ先にリリースされたBLSコースでは、インストラクターコースも刷新されて、今年の5月から新コースに移行しています。
今までのインストラクターコースと、なにが違うのかというと、まず、名称が変わりました。
現行版のBLSインストラクターコースは、正式には BLS Instructor Essentials コースと言います。
以下、「BLSエッセンシャル」と略させていただきますが、BLSエッセンシャルは2つのパートで構成されています。
1.オンライン編
2.クラスルーム編
これはG2010正式コースのときも同じだったのですが、BLSインストラクターを目指す人は、まずはトレーニングセンターから提携許可を受けた後、受講者ワークブックなどの副読資料を受け取って、米国のAHA本部が運営するe-LearningによるBLS Instructor Essentials オンライン編を履修する必要があります。
自宅のパソコンからクレジットカード決済で$30を支払い、パソコン上のマルチメディアで独習します。AHAインストラクター制度や、指導方法の基礎的なことをオンラインで学びます。これが修了すると、修了証が印刷できるようになります。
この修了証を持って、次のステップであるBLS Instructor Essentials クラスルーム編に進みます。
これは、Trining Center Faculty(以下、ファカルティ)と呼ばれるインストラクター養成資格を持つ責任者が主催する集合研修です。あまり公募はしていませんが、必要時、ファカルティが開催しています。
マネキンを用意し、受講者役とインストラクター役に別れて指導や試験の仕方を練習をしたり、よりよいインストラクターになるためのポイントをディスカッションしたりして、インストラクターとして必要な最低限のことを学びます。
新しいインストラクターコースは、「インストラクター・エッセンシャル」と言っているように、これを終了すれば即インストラクターとして独り立ちできるというような性質のものではありません。
この上で、指導経験を積んで成長していくための入り口に過ぎません。
プロバイダーコース教材はほぼ全て日本語化されていますが、インストラクターコースの資料の多くは英語のままです。肝心のe-learningも完全に英語で、中身的にも米国国内事情が色濃く反映されています。
日本人が履修するには少々たいへんなのも事実ですが、American Heart Associationのインストラクターになるということは、紛れもなく米国組織に帰属することに他なりません。
蘇生科学と教育工学の先進国でもある米国文化から何を学び、それを日本に活かすか? コース内容をそのまま適応しても日本にはマッチしないのは事実で、その溝を埋めるのが日本で活動するAHAインストラクターの責務になりますが、まずはデフォルメされていない等身大の米国事情を理解しなければ、ものごとの判断はできません。
インストラクターになった後も、最新情報の多くは英語で届けられます。
そのためにも、まずはAHAインストラクターとはなんなのか? を理解してもらうためにも、英語でのオリジナルのオンラインコースから学んでもらう必要があると考えています。
もちろん、言語的な壁を低くするためのサポート教材も出来るかぎり用意していくつもりです。
米国本来のAHA ECCプログラムをきちんと理解した上で、日本国内に適応していく。それが日本医療教授システム学会JSISH-ITCの方針です。
AHAインストラクターになりたいと思う人は、身近なJSISH-ITC活動拠点にコンタクトを取ってみてください。そこでの活動の様子やインストラクターの話を聞く中で、自分に合っていると感じられれば、ぜひインストラクターコースの門を叩いてみて下さい。